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鬼と月と赤い砂漠19

鬼と月と赤い砂漠19

二ば毬を

 このこんぼうは人間の罪の重さによって、

重くなったり時に、羽根のように軽くなった

りするふしぎなこんぼうなのです。

 そして、鬼のおとうさんは、ベージュのス

−ツのポケットに渋いかたちの老眼鏡をす

ばやくしまいこみ、おきにいりのハンチング

帽もトランクのなかにつぶさないようていね

いにしまいました。

 そして、誰もが鬼というとそうぞうしたこ

とがあるであろうトラのこしまきにきがえま

した。「ほんとうに、この姿だけはどうにか

ならんものかな、仕事とはいえ」そして、フ

ァン・リーベ・ブリトニア専用のこんぼうを

かつぎました。

 つぎに、車のミラーで、みなりをかくにん

したのち、家族がおそらくきいたこともない

ような低い声でさけびあげました。そして、

こんぼうをどーんと地上にたたきつけました。

びりびりと空気がふるえ、強い風が台風のよ

うにあちこちに目玉をつくると扉の前にあっ

たおおきな黒い闇がたちどころに、糸のきれ

た風船のようにぐんぐんと空へのぼっていき

ました。

鬼のおとうさんは、扉の鍵をいくつもつい

たかぎたばから真っ黒くつやのある鍵をえら

びだしました。

 それは、鬼のおとうさんの右手にあてられ

た印の紋章とおなじ模様が彫られています。

 かぎあなに鍵をいれると

 キーンオロロロン

 とっぴょうしもない音をだして扉はひらき

ました。

 もういちど目を光らせると魔物のしんにゅ

うがないかを確認し、ここまできてようやく

一息つくことができました、そうして「はあ。

いつものこととはいえど、きょうは仕事がは

やく終わるといいのだが」とぽつりとつぶや

いてしまったのです。

つづく
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by junko-oo1 | 2007-01-31 20:50