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鬼と月と赤い砂漠22

鬼と月と赤い砂漠22

二ば毬を

 きりぎりすはべっこうの眼鏡を細長い手で

もちあげました。

 「それでも、このとびらのむこうに行きた

いというならばとめたりはしないがね。いっ

たいどんな恐ろしいことになるか、わたしは

しらないよ」

 きりぎりすはそういうと、流暢にしゃべり

だしました。

 鬼のおかあさんにはさっぱり何を言ってい

るのかわかりません。にんげんのせかいのこ

とや、ぼうやのことや、この金の扉が、夢の

扉だということ、たしかにきりぎりすはその

ようなことをいっています。

 「いったい、あなたは何をいっているの」

 鬼のおかあさんがそういうと、きりぎりす

はなおもつづけました。

 「まあ、まちなさい。(じつはここでこ鬼

くんが目をさましていなければならないはず

なのに、まあいい)

 あの、この扉はとても意地悪でね。そう、

わたしのように賢くて意地悪なのさ。

 このむこうにはきみがいちばんたいせつに

しているものが待っている。

 願いは一度だけだ。

 きみが人間の世界をのぞむなら
 
 扉のむこうには人間の世界がきっとある

 
 しかし、願いは一度だけ。

 夢の扉が開いた瞬間に、それは欠けていく

 きみの住んでいる鬼の世界がむこうがわに

流れだしてしまわないように。

 だから、きみはもうにどと鬼の世界にはも

どってこれないかもしれないよ。なにが一番

大切なのか良く考えることだね」

 そして、きりぎりすはスペアの金の鍵を鬼

のおかあさんに渡しました。(でも、たしか、

これは鬼の子どもに渡すはずだったのだが、

台本とえらくちがうのでは)


 こ鬼はぐっすりと眠っています。

 鬼のおかあさんは、きりぎりすの言葉がは

たして自分がいわれていることなのかどうか

はわかりませんでした。

 しかし、金の鍵をもらったならば、鬼のお

かあさんが願うことはただひとつなのです。

 鬼のおかあさんが金の鍵を手ににぎると、

とびらはきらきらとかがやきだしました。

 金の鍵はぼんやりときらきらとして、そし

て夜明けの星のようにとうめいな光りをはな

っていました。

つづく
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by junko-oo1 | 2007-02-05 18:20